和解離婚と認諾離婚

六法全書

裁判離婚には判決によって離婚が成立する方法の他に、和解離婚と認諾離婚という方法があります。

この2つの方法は判決で離婚が成立するよりも、離婚裁判を早く終わらせることができるのが特徴です。

それぞれの内容について、弁護士が解説します。

和解離婚とは

裁判

和解離婚とは、離婚裁判の途中でお互いの歩み寄りによって和解し、離婚が成立することです。

裁判は判決まで続行しなくとも当事者同士で話し合いをして裁判上で和解すれば、その時点で裁判が終了し離婚が成立します。

また、裁判官から和解を促す和解勧告が行われるケースもあります。タイミングとしては第1回口頭弁論期日の後や、尋問の後などが多いです。

▶ 裁判離婚するための条件や流れについて

和解離婚のメリット・デメリット

和解離婚のメリット

離婚裁判で判決が出るまでには長い期間を要しますが、和解離婚であれば判決が出るよりも早く離婚が成立する点がメリットです。

また、和解離婚すると戸籍には「和解による離婚」と記載がされます。判決による離婚だと「判決による離婚」と記載されます。

例えば再婚時などに、判決離婚よりも和解離婚の方がイメージが良い可能性はあるかも知れません。

和解離婚のデメリット

和解離婚はお互いの歩み寄りによって離婚が成立します。

そのため、離婚裁判で財産分与や養育費、慰謝料等の支払いを求めていた場合、和解離婚だと判決による離婚よりも低い条件で成立してしまう可能性があります。

和解離婚の流れ

離婚裁判を起こしたあとでも、当事者同士での話し合いは何度でも繰り返すことができます。

話し合いの結果、裁判の途中で当事者同士が和解すればその日に裁判は終了し、後日、裁判所が作成した「和解調書」が送達されます。

その後、和解離婚が確定した日を含めて、10日以内に市区町村役場へ和解調書の謄本を添えて離婚届を提出する必要があります。

和解調書には判決と同じ法的な効力があるため、記された養育費の取り決めや慰謝料の支払い、財産分与などの支払いが滞った時には、強制執行を行う事が出来ます。

認諾離婚とは

裁判官のイメージ

認諾離婚とは、離婚裁判中に、被告が原告の言い分を全面的に受け入れて離婚が成立することです。

これにより、裁判の途中でも手続きを終了し、離婚を成立させることができます。

和解離婚と認諾離婚の違い

和解離婚は前述した通り、お互いの歩み寄りによって和解を成立させて離婚する方法であるため、お互いの合意が必要となります。

認諾離婚は被告が原告の言い分を受け入れる意思を裁判官に示すだけで良い点や、和解離婚では原告が多少の譲歩をしなければならない面もありますが、認諾離婚であれば原告の言い分がそのまま通る点も大きな違いです。

認諾離婚できないケース

認諾離婚できるのは離婚する事のみを目的とした裁判だけです。

親権者や財産分与、慰謝料の請求など、離婚すること以外にも訴えがある場合には、認諾離婚をすることはできません。

なお、未成年の子どもがいる夫婦の場合は離婚時には必ず親権者を決める必要がありますので、認諾離婚ができません。

認諾離婚のメリット・デメリット

認諾離婚のメリット

和解離婚と同様に、裁判を途中で終わらせて離婚が成立しますので、判決による離婚よりも期間が短くて済む点がメリットです。

認諾離婚のデメリット

被告は原告の言い分をそのまま受け入れることになりますので、被告にとっては自分の考えが認められない点がデメリットといえます。

認諾離婚の流れ

離婚裁判の途中で、被告が原告の請求をすべて受け入れる意思を裁判官に対して示せば、認諾が成立します。

裁判所が「認諾調書」とよばれる調書を作成し、原告と被告に送達します。

その後、市区町村役場へ10日以内に離婚届と認諾調書の謄本を提出する必要があります。

認諾調書には確定した判決と同じ効力がありますので、後から取り消すことはできません。

まとめ

髙野弁護士

離婚について揉めてしまい離婚裁判にまで発展すると、判決が出るまでには年単位の期間を要します。

離婚裁判を少しでも早く終わらせたいなら、和解離婚や認諾離婚という方法があります。

それぞれにメリット・デメリットがあり、認諾離婚は限られたケースでのみ成立する方法ですので、それぞれの内容を良く理解しておく必要があります。

離婚裁判に関するお悩みがあれば、なるべく早めに弁護士にご相談ください。