精神病を理由に離婚できますか?

 

 

A

1 不治の精神病(民法7704号)

 

 

  「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合」であることを要します。

 

 

 (1) 肯定事例

 

   統合失調症によって、口頭弁論終結時まで6年間入院していた事案について、妻のかかっている「精神病はその性質上強度の精神病というべく、一時よりかなり軽快しているとはいえ、果たして完全に回復するかどうか、また回復するとしてもその時期はいつになるかは予測しがたいばかりか、かりに近い将来一応退院できるとしても、通常の社会人として復帰し、一家の主婦としての任務にたえられる程度まで快復できる見込みは極めて乏しいものと認めざるを得ない」として、同号に該当し、最高裁として初めて精神病離婚を認めました(最判昭和451124日)。

 

 

 (2) 否定事例

  
 妻が統合失調症による入退院を繰り返し、現在単身生活をし、通院しながら薬物療法精神療法を受けているが、医師、ケースワーカー、家族などの庇護の下においては社会生活を送ることができる中程度の欠陥治癒の状態がある場合に、夫からの離婚請求を認めなかった事例(東京地判昭和59224日)。

 

   もっとも、精神疾患について、4号に該当しなくても、以下に述べる5号に該当する可能性があります。

 

 

2 5号の該当性

  5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるときに該当するかは、婚姻関係が破綻し回復の見込みがない、といえる場合に離婚が認められます。その判断は、婚姻中における両当事者の行為や態度、婚姻継続の意思の有無、子の有無、子の状態、さらには、双方の年齢・健康状態・性格・経歴・職業・資産収入など、当該の婚姻関係にあらわれた一切の事情が考慮されることになります。

 

 

 (1) 精神病を含む重大な疾病・身体障害

 

   配偶者の一方が重病に罹患し、又は、重大な障害があり、夫婦の協力義務を果たせず、婚姻生活の維持が困難な場合に、それだけで当然破綻しているとはされていません。他方が一方にこれまで献身的に尽くし、これ以上の犠牲を強いるのは酷といえる場合に破綻とされています。

 

   この場合、同項4号との均衡もあってか、判例上、具体的方途の有無が問題とされています(最判昭和36425日)。

 

 

 (2) 肯定事例

   夫から、脳腫瘍により心神喪失の常況となり、禁治産宣告を受けた妻の後見監督人である妻の母を被告として、離婚を求めた事案において、妻は4年以上植物状態にあり回復の見込みがないこと、離婚後の療養看護については、後見監督人と合意し、妻を過酷な状態に置かない配慮をしていること、子の養育などについて不都合なところはなく、妻のみに特段の不利益を課するといった事情はないこと等を考慮して、破綻しているとして、離婚請求を認容した事例(横浜地横須賀支平成51221日)。

 

 (3) 否定事例

  

    夫が、脊椎小脳変性症と診断され、歩行困難、言語障害がみられ、入院しているが、知能障害のない妻に対し、離婚を求めた事案について、精神的交流が可能であり、子らとの同居を願い、婚姻生活の継続を希望する妻の意思を考慮すると、本症に罹患し、日常生活の役に立たなくなったからという理由だけで、妻を妻の座からさらせようとし、しかも、入院はさせたものの、国の援助に頼るのみで、看病はおろか、入院生活の援助もせずに放置し、将来にわたる誠意のある支援体制を示さず、妻の希望する子らとの交流さえ拒む、夫の態度のみによって、婚姻が回復しがたいほど破綻しているとはいえないとして、離婚請求を棄却した事例(名古屋高判平成3530日)。

 

 

 

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