民法等法改正により共同親権が認められたが、親権争いはどう変わるか弁護士が解説

更新日:2026/04/16

わが国では従来、離婚後は「単独親権」とされ、父母のいずれかしか親権を持てないとされてきました。

しかし、2024年に決定した民法改正により、2026年4月1日から、離婚後も「共同親権」を選択できるようになります。これにより、離婚時に発生していた、親権をめぐる争いが減少する可能性があります。

共同親権の導入により、子と一緒に暮らしていない親が重大な決定に関与でき、養育費の支払いがスムーズに進むと期待されます。もっとも、虐待やDVが疑われるケースで共同親権とされてしまうと、元配偶者や子に危害が加えられるリスクが高いです。

本記事では、民法改正の内容、親権争いに与える影響、共同親権のメリット・デメリットなどを解説しています。これから離婚を予定されている方はもちろん、既に離婚している方にも関係のある内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

民法等改正法が成立し、共同親権が認められました

手を繋いでいる親子の後ろ姿

2024年5月に民法等改正法が成立し、離婚後の共同親権が認められました。準備・周知期間を経て、2026年4月1日より施行されます。

まずは、共同親権の意味や改正に至った背景、新しいルールの内容などを解説します。

共同親権とは?

共同親権とは、父母双方が親権を持つことです。

そもそも親権とは、未成年の子どものために、世話をしたり、財産を管理したりする権利・義務をいいます。

親権の内容は、大きく分けて以下の2つです。

  • 身上監護権(子の世話や教育をする権利・義務)
  • 財産管理権(子の財産を管理する権利・義務)

子どもが成長するうえで、親権を誰が持つかは非常に重要な問題です。

これまでわが国では、婚姻中は共同親権であるものの、離婚後は単独親権にするとされてきました。すなわち、離婚時に親権者を父母のいずれにするかを選ぶ必要がありました。

しかし、今回の民法改正により、離婚時に、単独親権にするか共同親権にするかを選択できるようになります。既に離婚し単独親権となっている場合でも、裁判所での手続きを経れば、共同親権への変更が可能です。

背景

離婚後に単独親権とされることにより、親権を得られなかった側が子についての重大な決定に関与できない、面会交流ができないといった問題が生じてきました。親としての責任感が希薄になると養育費の不払いが起こりやすく、親権を獲得した親にとってもマイナスの影響があります。何より、子にとっての利益になりません。

より深刻な場合には、親権獲得のために子を連れ去る事態も発生していました。

また、主要国のほとんどで共同親権が認められています。国際的な潮流に鑑みても、単独親権しか選択肢がないのは異質といえるでしょう。

こうした背景から、共同親権の導入を求める声が高まり、今回の法改正に至りました。

内容

民法改正により、離婚時に「単独親権(父母の一方を親権者とする)」か、「共同親権(父母双方を親権者とする)」かを、選択できるようになります。

父母の話し合いにより決定できないときは、最終的に裁判所が決定します。虐待やDVのおそれがあるときなど、共同親権とすると問題が生じる場合には、単独親権にしなければなりません。

共同親権といっても、離婚後の父母があらゆることを話し合うのは現実的ではないでしょう。そこで、以下の行為については単独で親権を行使できるとされています(参考:父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました~親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の解説|法務省民事局)。

【監護・教育に関する日常の行為】

  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可

【子どもの利益のために急迫の事情がある】

  • DVや虐待からの避難
  • 緊急の医療行為を受けさせる必要がある
  • 入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っている

これらに該当しない事項については、父母双方が合意しなければなりません。話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所が父母のどちらが親権を行使するかを決定します。

【参考】【弁護士が解説】2024年5月に民法改正により離婚後の共同親権が認められました

共同親権が認められ、親権争いはどうなる?

話し合いをしている二人の写真

共同親権が認められれば、親権をめぐる争いが減少する可能性があります。

従来であれば、親権を失いそうな側(多くのケースで父)が、離婚(=親権の喪失)を拒むケースがよくありました。共同親権を選択できるとなれば、離婚がスムーズに進む場合もあるでしょう。

もっとも、話はそう単純ではありません。「単独親権か共同親権か」でもめるケースが出てくるためです。従来であれば最初から「どうせ母が親権者になる」と諦めていたような場合でも、共同親権の選択肢ができたことで争いになる可能性があります。

したがって、親権をめぐる紛争がどうなるかは、実際に制度が始まってみないとわかりません。

また、今回の改正により、既に離婚して単独親権となっている場合でも、家庭裁判所での手続きを通じて変更が可能になります。親権を失った側が共同親権への変更を求め、争いが多発する事態が想定されます。

【参考】親権を取りたいあなたへ|親権の決め方と有利になる条件を弁護士が解説

共同親権によっておこるメリット・デメリット

弁護士がメリットデメリットを解説している様子

共同親権の導入には、メリット・デメリットいずれも想定されます。

メリット

メリットとしては以下の点が挙げられます。

離婚時に争わずに済む

離婚時の親権争いが減少する可能性があります。

従来は、離婚そのものには合意していても、親権者をなかなか決められない場合がありました。共同親権が選択肢になれば、争わずに離婚できる可能性があります。特に夫婦で話し合いができる状態であれば、これまでよりもスムーズに進むでしょう。

もっとも、前述の通り、単純に親権争いがなくなるわけではありません。離婚時に争わずに済むかどうかはケースによります。

離婚後も重大な決定に関与できる

共同親権であれば、離婚後に子と生活していない側の親も、重大な決定に関与できるようになります。

たとえば、以下の事項についての決定です。

  • 転居
  • 進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為(緊急ではないもの)
  • 財産管理

日常の行為は任せるとしても、重要な決定に関われることは、監護していない親にとってメリットになります。

養育費の支払いがスムーズになる

親権者であり続けることで、養育費の支払いがスムーズになるとも考えられます。

離婚を機に親権を手放し重大な決定に関与できないと、親としての責任意識が希薄になりやすい側面があります。「口を出せないなら金は出さない」「もう自分は関係ない」となり、養育費を支払わないケースが多かったのが実情です。

親権者として子どもに関わり続けられるのであれば、子どものことを考える機会が増え、養育費の支払いにも積極的になる可能性があります。

養育費が安定して支払われれば、監護している側の親にとってもメリットが大きいです。

子が両親と関われる

離れて生活する親との関係が続くことは、子の成長にあたってもメリットといえます。

離婚時に考えるべきなのは、何よりも子の利益です。普段一緒に生活していない親からの愛情を感じられ、金銭的にも援助を受けられるのであれば、子にとっても共同親権は望ましいといえます。

デメリット

メリットがある一方で、共同親権には以下のデメリットも指摘されています。

DVやモラハラの被害が続く

共同親権であれば、離婚後も元配偶者と関係を続けざるを得ません。特に婚姻中に虐待・DV・モラハラなどの問題があった場合には、離婚しても継続するリスクがあります。

虐待やDVのおそれがある場合には、裁判所は単独親権に決定しなければならないとされています。しかし、日常的にDV等をしている配偶者から共同親権にするように脅されれば、従わざるを得ず、合意を強要されるケースもあるでしょう。裁判の場で判断するにしても、DV等の証拠がないために共同親権とされるおそれがあります。

従来であれば単独親権になり関係を断ち切れていたケースでも、共同親権となれば関係が続き、元配偶者・子に危険が及ぶリスクは否定できません。

意思決定が遅れる

共同親権であれば、子に関する重要な決定には両親の合意が必要です。意見が食い違って話し合いがまとまらないときは、意思決定が遅れるおそれがあります。

最終的には裁判所で決定する仕組みがあるとはいえ、時間がかかってしまいます。状況によってスムーズに親権を行使できないのは、共同親権のデメリットのひとつです。

子の負担が増加するおそれ

共同親権によって、かえって子の負担が増加する可能性も否定できません。

たとえば、両親の関係が悪ければ、離婚後も子が争いに巻き込まれ続けてしまいます。また、頻繁に両親の間を行き来することになれば、子の生活が安定しないおそれがあります。

うまく利用すれば子のためになるはずの共同親権が、場合によってはマイナスに働きかねないのです。

【参考】離婚時に問題となる親権と監護権はどう違うのですか?

山本総合法律事務所ができるサポート内容

サポート

山本総合法律事務所は、群馬県を中心に、親権をめぐる争いを多数解決してきました。

相手方との協議、裁判所での調停等の手続きを通じて、皆様にとって有利な条件を獲得できるよう、全力でサポートいたします。

面会交流や養育費も含めて、離婚後の子どもに関する問題を有利に進めるには、専門家の法的知識は欠かせません。とりわけ制度が変化する中では、最新の情報を知っている弁護士にご依頼いただくのが効果的です。

子ども以外の、慰謝料・財産分与・年金分割などの問題も含めて、交渉や調停・訴訟をお任せいただけます。離婚に関するお悩みは、山本総合法律事務所までご相談ください。

弁護士費用

お金と電卓

当事務所では、離婚の弁護士費用を以下の通り定めています(詳しくはこちら)。

【相談料】

30分5500円(税込) 

※30分経過ごとに5500円を追加

【離婚協議書のチェック・作成】

離婚協議書のチェック離婚協議書(公正証書以外)の作成公正証書作成
5万円(税込5万5000円)10万円(税込11万円)15万円(税込16万5000円)

※着手金はありません。

※実費(郵便切手代、印紙代、交通費等)が別途かかります。

【弁護士におまかせプラン】

離婚協議離婚調停離婚訴訟
着手金30万円(税込33万円)30万円(税込33万円)40万円(税込44万円)
報酬金40万円(税込44万円)+経済的利益の11%40万円(税込44万円)+経済的利益の11%50万円(税込55万円)+経済的利益の11%

※親権または面会交流を争う場合は、着手金+11万円及び報酬+11万円~

※調停から訴訟に移行する場合、着手金は差額分の11万円を追加で申し受けます。

※経済的利益は、請求側は獲得分、被請求側は減額分を指します。

※経済的利益には養育費を含み、請求側は養育費2年分の合計額を、被請求側は減額した金額の2年分をそれぞれ加算します。

※実費(郵便切手代、印紙代、交通費等)が別途かかります。

よくあるご質問

共同親権について、よくある質問をまとめました。

Q.すでに離婚をしている場合の親権はどうなりますか

A.すでに離婚していて単独親権になっている場合、自動的には共同親権に変更されません。

変更するには、裁判所への申立てが必要です。結果として認められず、単独親権のままになる可能性もあります。

Q.事実婚の場合の親権はどうなりますか

A.事実婚で父母が婚姻関係にない場合は、父親の認知によって親子関係が認められます。

従来は、父親が認知しても親権は母にのみ認められていました。改正後は、父母の協議により、共同親権あるいは父の単独親権とすることが可能になります。

Q.共同親権が認められないケースはありますか

A.裁判所の判断によって共同親権が認められず、単独親権になる場合があります。典型的なのは、虐待やDVが予想されるケースです。個々のケースで実際にどう判断されるかは、今後の運用次第になります。

この記事をシェアする

メールでのご予約も受付中です。