夫が親権(子2人)、慰謝料200万円、財産分与として自宅の妻側共有持分を取得したケース
- 執筆者弁護士 山本哲也
ご依頼者様データ
ご依頼者様 |
40代男性(公務員) |
相手方職業 | パート |
子ども | 2人 |
離婚請求 | 求めた側 |
理由 | 妻の不貞 |
依頼に至った経緯

妻のスマホから発覚した不審なやり取り
依頼者の男性は、妻のスマートフォンを確認した際に、メモ帳アプリやLINEでのやり取りなどから、妻が他の男性と不貞行為を行っている可能性が高いと感じるようになりました。
そうした状況の中で「今後の夫婦関係の継続は難しいのではないか」と考えるようになり、離婚を視野に入れるようになりました。
離婚の決断における最大の懸念「親権」
しかし、依頼者にはお子さんがいらっしゃり、離婚をする場合には「親権をどうするか」が大きな懸念事項でした。
依頼者としては、自らが親権を持ち、子どもを育てていきたいという強い希望がある一方で、「現実問題として父親が親権を取るのは難しいのではないか」との不安もありました。
そのため、「もし親権を取得できる見込みがないのであれば、無理に離婚せずに、当面は婚姻関係を続けるべきなのか」と悩まれていたのです。
妻の養育状況を踏まえた法的見通し
ご相談の中で、当職からは、現在の妻の生活状況や育児環境、また不貞行為の疑いがある点などを総合的に考慮すると、依頼者側が親権を獲得できる可能性は十分にあるとご説明しました。
例えば、妻が日常的に育児を十分に行っていなかったり、子どもに対する関心が薄れているような事情があれば、裁判所も親権の判断にあたって考慮する可能性があるからです。
弁護士への依頼と今後の対応
こうした説明を受けた依頼者は、「今後、どのような証拠を集めればよいか」「どのタイミングで離婚を進めるべきか」などについて明確な方向性を得ることができ、最終的に当職に正式に依頼をされることとなりました。
弁護士が実施したこと

不貞の証拠をもとに離婚条件を提示
依頼者からは、妻のスマートフォンに保存されていたメモや、LINEでのメッセージのスクリーンショットなど、複数の不貞行為を示唆する資料が提出されました。
当職にてこれらの証拠を慎重に精査した結果、民法上の離婚原因である「不貞行為」があったと評価するに足る内容であると判断いたしました。そこで、依頼者の希望をふまえた離婚条件を整理し、内容証明郵便という法的な証拠力のある形式で、妻宛に書面を送付いたしました。
書面には、主に以下のような条件を記載しています。
- 依頼者による2人の子どもの親権の取得
- 不貞行為に対する慰謝料の支払いを求める
- 財産分与として、夫婦共有名義となっている自宅について、妻側の持分を依頼者が取得すること
協議が不調に終わり、離婚調停へ
内容証明郵便が妻に届いた後、双方の代理人間や本人同士で数回にわたり離婚条件についての協議が行われました。依頼者としては、あくまで穏便に、協議による離婚解決を希望していましたが、妻側が親権の譲渡や財産分与の内容について強く反発し、条件面で折り合いがつかない状況が続きました。
このままでは話し合いによる解決が見込めないと判断し、家庭裁判所に対して正式に離婚調停の申し立てを行うこととなりました。
調停における主張と証拠提出
離婚調停の場では、当方がこれまで妻に対して提示してきた離婚条件をベースとして、調停委員に対し以下のような主張を詳細に行いました。
まず、不貞行為の具体的な事実として、LINEのメッセージ内容、写真、日付の入ったメモなどを証拠として提出し、夫婦関係の破綻に至った原因が妻側にあることを明らかにしました。
さらに、親権に関しては、妻が日常的に育児を軽視していたり、子どもに対して不適切な言動を取っていた場面があったことを、証言や記録に基づいて主張しました。加えて、依頼者がこれまで主に育児を担っていたことや、今後も安定した生活環境を提供できることを、家庭裁判所に理解してもらえるよう、丁寧に説明を重ねました。
調停成立とその成果
以上のような証拠資料の提出と論理的な主張を積み重ねた結果、調停委員からも当方の主張に一定の理解が示され、最終的に以下の内容で調停離婚が成立しました。
- 親権:依頼者が2人の子どもの親権を取得
- 慰謝料:200万円
- 財産分与:夫婦共有名義の自宅について、妻の持分を依頼者が取得
このように、調停という法的手続きを通じて、依頼者の主張がほぼ認められる形で解決に至ったことになります。
得られた結果
- 依頼者が2人の子どもの親権を取得
- 慰謝料200万円
- 夫婦共有名義の自宅について、妻の持分を依頼者が取得
- 半年程度での離婚成立
手がけた感想

離婚を進めるうえで、まずは協議離婚ができないかを試みることが早期解決には重要となります。しかし、協議離婚では、双方の離婚条件に折り合いが付かなければ、協議を重ねても、交渉が難航することで却って解決が遅くなることもあります。
本件では、協議段階において、妻側の離婚条件が二転三転していたため、協議離婚は困難であると判断して、離婚調停を申し立てました。
離婚調停は、裁判とは異なり、詳細な証拠の提出が求められることは少ないのですが、本件では、妻の不貞行為や妻側の養育環境を証拠に基づいて詳細に主張したことにより、調停委員を味方にすることができた事案でした。
上記立証活動の結果、離婚調停は、半年程度で依頼者の要望通りの内容で離婚が成立し、無事に解決となりました。
離婚問題は、感情の対立が激しい事案が多いため、双方の離婚条件をどのようにすり合わせるかが難しい問題です。
離婚問題にお悩みの方は、一度離婚問題に精通した弁護士にご相談ください。
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