年収600万円の養育費の相場

更新日:2025/11/11
年収600万円の養育費の相場

離婚後、子どもの生活を安定させるうえで大切なのが「養育費」です。中でも、年収600万円程度の世帯は、実際の負担感や生活水準とのバランスに悩む方も少なくありません。

この記事では、養育費の基本的な仕組みから、年収600万円の場合の相場、増減のポイント、決定時の注意点についてご説明します。

養育費とは

子どもとお金

養育費とは、子どもの生活を支えるために、親権を持たない親が負担するお金のことです。これは子どもに認められた権利であり、親にとっては果たすべき義務です。通常は金銭で支払うのが原則で、子どもが自立するまでの間、毎月決まった額を支払うのが一般的です。

養育費に含まれる費用の内容

一般的に養育費に含まれるのは、次のような項目です。

  • 衣食住に関する基本的な生活費
  • 学費(授業料、教材費、塾代など)
  • 医療費(保険適用外の治療費含む)
  • 進学・修学旅行等の臨時的費用

基本的には、子どもが社会的・経済的に自立するまで必要となる支援と考えられており、高校卒業まで、あるいは大学卒業までといった期間で定められることもあります。

養育費はいつまで支払う?

2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費の支払期間は、子どもが「20歳になるまで」が一般的です。

子どもが大学進学する場合などは、「22歳まで」とするケースも多く見られます。養育費の期間に明確な決まりはなく、両親の合意次第で自由に決めることが可能です。

【参考】成人年齢引き下げで離婚や養育費はどうなる?

年収600万円の養育費の決め方

男女が話し合いをしている様子

養育費の期間と同様、金額についても夫婦間で自由に取り決めることが可能です。

どうしても合意が難しい場合は、家庭裁判所の手続きを利用することになるのですが、その際に基準とされるのが「養育費算定表」です。

養育費算定表を用いた目安

家庭裁判所が公表している養育費算定表では、両親の年収と子どもの人数・年齢をもとに、標準的な養育費の目安が示されています。

たとえば、

父:年収600万円(給与所得者)

母:年収300万円(給与所得者)

子ども:1人(0~14歳)

という条件であれば、月額養育費は4万円~6万円程度が目安です。

もし子どもが15歳以上である場合は、教育費の増加などが加味され、月6万円~8万円程度が目安になります。

子どもの人数による違い

当然ながら、子どもが2人以上いる場合は、養育費の合計額も高くなります。ただし、単純に2倍になるわけではなく、世帯全体の収支や分配の考え方に基づいて調整されます。

上記の条件をそのまま引き継ぎ、子ども2人(うち1人は15歳以上)の場合、養育費算定表によると合計で月額8万円~10万円程度が目安とされています。

【参考】養育費算定表の詳細についてはこちら

養育費を相場より増減させるには?

お金と電卓

算定表の金額はあくまで目安・相場であり、必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありません。家庭の事情によっては、より高い金額・低い金額で合意することも可能です。

養育費を増額できるケース

以下のような事情がある場合には、算定表よりも高い金額が認められることがあります。

  • 子どもが私立学校に通っており学費が高額
  • 中学・高校で塾や予備校に通っている
  • 病気や障害などにより医療費がかかる
  • 将来の進学希望(大学・留学)に備えた積立が必要

特に教育方針に関する合意がある場合には、将来を見越した支出も養育費に含めて協議する余地があるでしょう。

養育費を減額できるケース

一方で、支払う側に以下のような事情がある場合には、養育費を相場よりも減額できる可能性があります。

  • 再婚して扶養家族が増えた
  • 病気やけがにより就労が難しい
  • 勤務先の倒産・リストラなどによる減収
  • 支払能力を大きく超える負担となっている

ただし、単に生活が苦しいという主張だけでは認められにくく、根拠となる客観的な証拠(源泉徴収票、医師の診断書、退職証明書など)の提出が求められる点に注意です。

【参考】請求されていた養育費を減額し、慰謝料請求を退けて早期に解決したケース

年収を参考に養育費を決める場合の注意点

ポイント

「年収600万円」とひとくちに言っても、個別の事情によって負担できる養育費は異なります。年収だけを参考にして養育費を決める際には注意が必要です。

というのも、600万円というのはあくまで「総支給額」であり、実際に使える金額(手取り)とは差があります。住民税や所得税、健康保険料、年金保険料などの支出を差し引くと、自由に使えるお金はぐっと減ります。

そのため、額面上の年収だけで養育費を設定すると、生活が破綻するリスクもあるため、現実的な家計とのバランスも検討しなければなりません。

【参考】【弁護士が解説】養育費の相場・支払い期間・変更できるケースを徹底解説

年収600万円の場合の養育費にお悩みの場合は弁護士へ

弁護士一同

年収600万円という括りがあったとしても、実際の生活や家計の状況は人それぞれ異なります。養育費を検討する際は、裁判所の算定表を参考にしつつも、自分自身や子どもの状況などを鑑みた上で決定することが大切です。

とはいえ、養育費の金額をめぐる争いは、離婚後も長期化しやすいトラブルのひとつです。「この金額で合っているのか」「支払いが厳しいが変更できるのか」「相手と直接話したくない」といった不安を感じているなら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士を通じた手続きであれば、感情的な衝突を避けながら、子どもの生活にとっても最善の形を整えることができるでしょう。

当事務所では養育費のご相談に積極的に取り組んでいます。群馬県で養育費についてお悩みの方がいらっしゃったらアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談ください。

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