生活費を渡してもらえない時の対処法

更新日:2022/04/19
悩む女性

当事務所に寄せられる離婚相談の中には、「夫が生活費を渡してくれない(くれなくなった)」というものがあります。

夫が生活費を払ってくれない場合、裁判所で請求できますし、離婚や慰謝料も請求可能です。

今回は、パートナーが生活費を払わない場合の対処方法を弁護士が解説します。

生活費支払いは夫婦の義務

家の模型と計算機

夫婦にはお互いに「生活保持義務」があります。これは「相手に自分と同じレベルの生活をさせる義務」です。

一家の大黒柱であれば、家族の生活を維持するために妻に生活費を渡さねばなりません。

また、生活費を払ってくれない夫は普段からモラハラにあたる言動を行っている可能性が高いです。

生活費不払いは離婚理由になる

離婚届

相手が一家の大黒柱であるにもかかわらず生活費を払わない場合、「法律上の離婚原因」になります。

民法は、基本的に「夫婦関係を破綻させるような事情」がある場合に離婚を認めています。

生活費不払いは夫婦の根本的な義務違反で婚姻関係を破綻させる行為なので「悪意の遺棄」という離婚原因とされています。悪意の遺棄とは「婚姻関係を破綻させても良い」という認識をもって相手を見捨てることです。

生活費を払わないのは家族を見捨てるのと同じなので、見捨てられた側は離婚を請求できるということです。生活費を払ってもらえない状態が続いているなら、協議や調停だけではなく、訴訟によっても離婚を認めてもらえると考えましょう。

生活費不払いと慰謝料

現金

相手が生活費を払ってくれないため離婚となったら「慰謝料」も請求できる可能性があります。

夫婦において生活費の支払いは「義務」であり、相手を見捨てることは「違法」と考えられるからです。

悪意の遺棄と認定されれば、生活費不払いによる慰謝料の相場は、50~200万円程度となるケースが多いでしょう。

以下のような場合、金額が高額になる傾向があります。

  • 不払いの期間が長い
  • 婚姻期間が長い
  • 相手が家出した
  • 相手が不倫している
  • 暴力も振るわれていた

慰謝料については様々な事情に応じて判断されるため、金額はあくまで目安になります。

ご自身のケースについて詳しく知りたい方は一度弁護士にご相談ください。

婚姻費用分担請求をする

離婚訴訟

相手が生活費を払ってくれないとしても協議や調停に時間がかかり、今すぐ離婚できるとは限りません。離婚協議や調停中の生活費が足りず、困ってしまう方もおられるでしょう。

そういった場合、「離婚までの生活費」を法的に請求できます。

法的な生活費の分担金を「婚姻費用」といいます。

離婚するまでは夫婦の生活保持義務が続くので、相手が支払わないなら裁判所を介して強制的に支払わせることができるのです。

同居中でも別居中でも請求可能

婚姻費用請求は同居中でも別居中でも関係なく請求することができます。

相手が生活費を払ってくれないなら、家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てましょう。話し合いで決着がつけばそのときから支払を受けられます。

話し合いが成立しなくても「審判」で裁判官が婚姻費用の支払い命令を出してくれるので、支払ってもらえるケースがほとんどです。

生活費の不払いは弁護士に相談を

岡部弁護士

一家の大黒柱である夫が生活費を渡してくれない場合、大変お困りの事と思います。

なるべく早めに弁護士にご相談いただくことで、スムーズに支払いを受けられる可能性があります。

まずは一度、ご相談ください。

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