スマホ依存は離婚原因になる?最近増えているスマホ離婚に関して弁護士が解説

更新日:2025/12/18
スマホ依存は離婚原因になる?最近増えているスマホ離婚に関して弁護士が解説

近年、「スマホ離婚」という言葉を耳にする機会が増えてきました。夫婦関係の破綻理由には、これまで、浮気や金銭問題、性格の不一致などが従来多く挙げられてきましたが、近年はスマートフォンの利用をめぐるトラブルが離婚の引き金となるケースも少なくありません。
そこで、今回は、「スマホ離婚」とは何か、どのような行動が原因となり得るのか、そして法律的にスマホ依存を離婚原因にできるのかを、詳しく解説していきます。

スマホ離婚とは?

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「スマホ離婚」とは、夫婦の一方または双方がスマートフォンに過度に依存することが原因で、夫婦関係が悪化し、最終的に離婚に至ることを指す俗称です。

たとえば、以下のような例が挙げられます。

  • 食事中や会話中にも常にスマホをいじっていて相手を顧みない
  • SNSやオンラインゲームに夢中で家庭を顧みない
  • LINEなどのやり取りから不倫や浮気が発覚する

以上のような行動が、夫婦の信頼関係を大きく損ね、離婚へと発展することがあります。

従来は「仕事が忙しくて家庭を顧みない」ことが離婚理由となることが少なくありませんでしたが、昨今は、その代わりに「スマホに夢中になること」が離婚理由になったといえるでしょう。

スマホ離婚になりうる行動とは?

男女が背中を向け合っている様子

スマホ離婚に直結するのは、単にスマホをよく使うという程度の問題ではありません。その利用態度や行動が夫婦関係に深刻な悪影響を与える場合が離婚につながることがあります。代表的な例は、以下のとおりです。

スマホの使い過ぎでコミュニケーション不足を招く場合

夫婦で会話をする時間や、子どもと向き合う時間よりも、スマホに向き合う時間が圧倒的に長いと、「家庭を大切にしていない」と受け止められ、夫婦関係や家族関係が悪化しやすくなります。

浮気・不倫に結びつく場合

SNSやマッチングアプリを通じて異性と知り合い、浮気や不倫に発展するケースも少なくありません。スマホを肌身離さず持ち歩いたり、ロックを厳重にかけたりすることで、相手に不信感を抱かせることもあります。

家庭生活に支障を及ぼすほど依存する場合

スマホゲームや動画視聴に没頭しすぎて仕事に支障をきたしたり、家事・育児を放棄したりすると、家庭の不和の大きな原因となります。

金銭トラブルを引き起こす場合

課金型ゲームに過度に支出したり、スマホでのショッピングの浪費も、夫婦の信頼関係に悪影響を及ぼし、離婚の引き金となることがあります。

【参考】【弁護士が解説!】協議離婚と調停離婚どちらを選ぶべき? 

スマホ依存を離婚原因にできるのか?

離婚届

では、スマホ依存は、実際に法律上の「離婚原因」となり得るのでしょうか。

日本の民法770条では、裁判離婚が認められる事由が限定的に規定されています。主なものは以下の通りです。

  • 不貞行為(浮気・不倫)
  • 悪意の遺棄(生活費を入れない、家庭を顧みない)
  • 3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない
    (注:エについては、2026年5月までに削除される予定です。)
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

スマホ依存という言葉自体は法律に明記されていませんが、依存によって夫婦関係が著しく損なわれた場合には、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

当事者の合意があれば離婚はできる

まず前提として、夫婦が双方合意すれば、民法に定める事由に該当しなくても、協議離婚することが可能です。

日本では離婚の約9割が協議離婚といわれています。「スマホ依存」という理由であっても、夫婦双方が合意すれば離婚は成立します。

法定離婚事由があれば離婚はできる

一方、夫婦の一方が離婚に同意しない場合は、調停や裁判を通じて離婚を目指すことになります。この場合は民法770条に定められた事由があることが必要となります。

スマホ離婚の場合、例えば、スマホを通じて不倫をしていた場合は「不貞行為」に該当するといえます。

また、スマホに依存して、家庭を顧みず、生活費も入れない場合は「悪意の遺棄」に該当する可能性があるでしょう。

夫婦の一方が極度にスマホに依存して、そのために夫婦生活が破綻している場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

「スマホを触っている時間が多い」というだけでは不十分ですが、スマホ依存が夫婦生活に具体的な悪影響を及ぼしていることを証明できれば、裁判上の離婚原因となり得るといえます。

【参考】裁判離婚の5つの離婚事由

スマホ離婚の際は弁護士にご相談を

所員一同

スマホ依存は、それ自体が法律で明確に定められた離婚原因ではありません。しかし、依存によって不倫や家庭放棄、金銭トラブルなどが引き起こされた場合には、裁判所が離婚原因として認める可能性があります。

スマホは現代生活に欠かせない便利なツールである一方、夫婦関係に悪影響を及ぼすこともあります。「スマホ離婚かも」と感じたときは、早めに専門家に相談し、適切な対応を検討することが大切です。

弁護士法人山本法律事務所は、離婚問題に関する知見が深く、「スマホ離婚」に対しても、事情を詳細にうかがって離婚が可能かどうかのアドバイスをすることができます。

配偶者のスマホ問題で離婚をお考えの方は、ぜひ一度、弁護士法人山本法律事務所にご相談ください。

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