医師との離婚をする際の方法や注意点を弁護士が解説

更新日:2026/10/13

「夫は病院にいる時間がほとんどで、家庭のことはすべて私に任せきりだった」

「開業医なので、財産がどれだけあるのかも把握できていない」

医師との離婚では、一般的な離婚とは異なる難しさがあります。収入や財産の規模が大きく、その全体像が配偶者に見えにくいためです。話し合いの時間を確保しづらいという事情も重なります。

本コラムでは、医師との離婚を進める方法と注意点について、群馬県高崎市・前橋市に拠点を置く山本総合法律事務所の弁護士が解説します。

医師との離婚でよくあるケース

ご相談のきっかけとして多いのは、次のようなものです。

多忙によるすれ違い

当直や休日の呼び出しが続き、家庭で過ごす時間がほとんどない。家事や育児の負担が一方に偏り、会話も減っていく。長い時間をかけて気持ちが離れていくケースです。

職場での不貞

勤務先の同僚との関係が発覚するケースです。職場が生活の中心になりやすいため、行動を把握しにくいという事情もあります。

モラルハラスメント

家庭内で常に見下される、意見を言わせてもらえないといったご相談です。

経済的な問題

収入は高いにもかかわらず、生活費を十分に渡してもらえない。家計の管理を任されず、財産の内容を知らされていないというケースもあります。

いずれの場合も共通するのが、財産の全体像がわからないという点です。これが、離婚条件の話し合いを難しくします。

医師との離婚をする方法

離婚の手続きは、次の順に進みます。

1.協議離婚

夫婦の話し合いで離婚と条件を決めます。合意した内容は離婚協議書にまとめます。養育費など支払いが続くものがある場合は、公正証書にしておくと安心です。

2.調停離婚

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に申し立てます。調停委員が双方の話を個別に聞くため、相手と直接やり取りする必要がありません。多忙で話し合いの時間が取れない相手との間でも、かえって進みやすいことがあります。

3.裁判

調停でも合意できない場合、訴訟を検討します。相手が離婚に応じない場合も、法律で定められた離婚原因があれば、判決で離婚が認められます。

このうち、条件の中心となるのが財産分与です。

財産分与

婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分け合う制度で、割合は原則として2分の1です。医師であるという理由だけで、この割合が変わるわけではありません。

ただし、特別な資格や能力によって多額の財産が築かれたといえる場合には、割合を変えるよう主張されることがあります。

対象となる財産は、働き方によって変わります。

勤務医

預貯金、有価証券、保険の解約返戻金、退職金などが対象です。厚生年金に加入していれば、年金分割も検討できます。

開業医

事業用の資産や負債も、対象になり得ます。医師年金などの私的年金にも注意が必要です。なお、個人で開業している場合は国民年金のみの加入となるため、年金分割の対象にはなりません。

医療法人を経営している場合

法人と個人は別の人格ですので、法人の財産は原則として対象外です。ただし、個人の財産と実質的に混同している場合には、対象として扱われることがあります。また、出資持分のある医療法人で相手が持分を持っている場合、その持分は個人の財産として対象になり得ます。2007年4月以降に設立された医療法人は原則として持分がないため、設立時期の確認も欠かせません。

婚姻費用・養育費

婚姻費用や養育費は、裁判所の算定表をもとに決めるのが一般的です。ただし算定表には上限があり、給与所得者は年収2,000万円、自営業者は年収1,567万円までしか記載がありません。

医師の場合、この上限を超えることが少なくありません。上限を超える場合は算定表だけでは決められず、個別に検討することになります。考え方が一つに定まっているわけではないため、争いになりやすい部分です。

慰謝料

不貞やモラルハラスメントなど、相手に責任のある事情があれば請求できます。収入が高いというだけで金額が上がるわけではありませんが、支払能力は考慮される要素の一つです。

不貞を理由とする場合、証拠が必要です。問い詰める前に、やり取りの記録などを保存しておくことが大切です。

医師との離婚を弁護士に相談するメリット

・相手の財産について、資料の開示を求めたり、調査を行える

・算定表の上限を超える場合の婚姻費用や養育費について、根拠を示して主張できる

・医療法人が絡む場合に、対象となる財産の範囲を整理できる

・相手と直接やり取りせずに済むため、精神的な負担を減らせる

・調停や裁判になった場合も、代理人として手続きを進められる

・離婚後の生活を見据えて、条件の優先順位を整理できる

医師との離婚で注意すべき点

財産の把握は別居前に

別居すると、相手の財産に関する資料を確認することが難しくなります。通帳や証券会社からの書類、保険証券、確定申告書の控えなどは、可能な範囲で別居前に確認しておきましょう。

開業医の場合、事業と家計が明確に分かれていないこともあります。どの資産が個人のものかを判断するには、資料の裏づけが欠かせません。

相手が開示に応じない場合、弁護士会を通じて金融機関などに照会する方法(23条照会)があります。ただし、金融機関が本人の同意なく回答に応じないケースも少なくありません。その場合は、調停や裁判の手続きのなかで、裁判所から金融機関などに照会してもらう「調査嘱託」を申し立てます。調査嘱託では、照会先の金融機関や支店名を特定する必要があります。そのためにも、別居前に手がかりとなる資料を確認しておくことが重要です。

子どもの進学費用を取り決める

お子さまが医学部への進学を希望する場合、学費は高額になります。私立であれば数千万円に及ぶこともあります。

養育費とは別に、進学時の費用をどう分担するかを、あらかじめ定めておくことをおすすめします。

養育費の終期を定める

養育費をいつまで支払うかも、明確にしておく必要があります。親の学歴や収入から大学進学が見込まれる場合は、大学卒業まで支払う取り決めをすることが一般的です。

ただし、医学部のように6年制の学部もあり、入学の時期や在学期間は人によって異なります。年齢で区切るよりも「大学を卒業する月まで」とするほうが実態に合います。あわせて、進学しなかった場合や中退した場合の扱いも定めておくと、後の争いを防げます。

親権の争いが激しくなることがある

開業医の場合、お子さまに継いでもらいたいという思いから、親権を強く求められることがあります。この場合、話し合いが長期化しやすくなります。

また、2026年4月から、離婚後も父母が共同で親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました。単独親権とするか共同親権とするかも含めて話し合う必要があり、争点が増えることもあります。

親権をめぐっては、収入の多さよりも、これまでどちらが子どもの世話を担ってきたかが重視されます。日々の関わりを具体的に説明できるよう、準備しておきましょう。

取り決めは離婚前にしっかりと

財産分与や養育費の条件をあいまいにしたまま離婚すると、後から話し合うのは簡単ではありません。離婚届を提出する前に、条件をきちんと取り決めておくことが大切です。

山本総合法律事務所が選ばれる理由

所員一同

当事務所では、税理士や司法書士と連携したワンストップでのサポートや、不動産や株式などが絡む複雑な財産分与への対応に力を入れています。高崎・前橋の2拠点に8名の弁護士が在籍し、群馬県内および近隣の地域からのご相談をお受けしています。

お気軽に弁護士にご相談を

「相手の収入は高いはずなのに、提示された条件が妥当なのかわからない」

「話し合いの場を持つことすら難しい」

そのようなお悩みを、お一人で抱え込む必要はありません。離婚するかどうかを決めていない段階でも構いません。まずは状況を整理するところから、弁護士と一緒に考えてみませんか。

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群馬県内および近隣の地域で、医師との離婚にお悩みの方は、山本総合法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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